NGO職員という生き方について思うこと

私は大学3年生の時に難民支援や人道支援という生き方を志してから、いくつかのNGOでインターンを経験し、現在(2021年6月)も人道支援をするNGOの職員としてイラクに駐在しています。

私がこの生き方を志したきっかけについてはギリシャでの経験を読んでいただければと思います。

今日は実際に21歳の時にこの生き方を決めて6年が経った今、NGO職員としての生き方について最近思っていることを書きたいと思います。

特にNGO業界に興味のある方は、「最後に…」は特に読んでいただきたいです。

NGO職員という生き方のプラス面

最初このテーマについて書こうと思った際、タイトルなんかも付けずに徒然と書こうと思っていました。

しかしブログ記事として書くということは備忘録以上に、読んでくれる皆さんにも分かりやすく書く方がよいかなと考えを改めました。

なのであまりはっきりと区別するのは好きではないのですが、NGO職員としての生き方のプラス面とマイナス面に分けて、今私が思う所を書き記したいと思います。

人の命・生活にかかわるという尊さ

これは正直、自惚れていると思われるかもしれないのですが、この直接人の命を救い生活を改善するために仕事をする、というのは人間としての生き方そのものとして意味のあることではないのかと考えます。

私やこの読者さんの多くは恐らく日本で生まれ育ち、または日本人の中で少なくとも衣食住には困らない生活を送ってきた方が多いのではないでしょうか。

もちろん日本の国内にも貧困は存在します。またホームレスとなってしまった人もいます。そういった方々を支援している人たちもまた、とても尊い仕事をされていると尊敬の念を抱かずにはいられません。

私にとっては海外の、しかも難民という問題が自分の人生のテーマになりましたが、偶然世界のほんの一握りの生活に困らない人たちの中に生まれたならば、そういう境遇に生まれてこられなかった人たちに手を差し伸べるのは人間として当然の生き方なのではないかと考えます。

誤解がないように書きますと、私にとっての「手を差し伸べる」とは、生まれた境遇に関わらずに自分で自分の人生を描き、それを歩む力を付けてもらうことを意味しています。決して支援を通して誰かを救うなどと大それたことではありません。

私は自分の人生のテーマとして「遺す」という考え方があります。

この私の人生哲学についても、いつか書こうと思っていますが、自分の人生を通して一人でも多くに手を差し伸べ、この世界に一人でも多くの自分の人生を歩める人を遺していくことができる仕事をできているとNGOの仕事を通して実感しています。

刺激にあふれる毎日

NGOの駐在員という仕事は、赴任先によっては今まで育った文化とは全く違う場所で長期で滞在することになります。

企業の駐在員のようにアメリカやヨーロッパといった、いわゆる先進国への駐在、また途上国でも比較的発展した部類の国となりますが、NGO職員の多くの駐在地である経済的な発展の遅れている途上国には全く違った刺激があります。

そこでは食、言語、文化、宗教、気候と全てが新しいことに溢れ、毎日が新しい学びの機会となります。今まで自分の中で生活の常識だったことが悉く覆される毎日。

アルビル市内の市場 ©筆者撮影

生活を通して自分にとっての凝り固まった「常識」を破り、自分にとっての世界を拡げ、アップデートをし続けることができます。

これは他の先進国の駐在とは全く違った探求の日々を提供してくれるでしょう。

新しい場所、文化が好き。人生を通して学び続けることが好きな人にはもってこいな仕事だと私は感じています。

半ミニマリスト的生活

途上国での生活は日本に比べて物価が安く、浪費癖などがなければ日本で仕事をし生活をするよりも確実にお金が貯まるでしょう。

NGO職員のお金事情については以下の記事もご参照ください。

また場所によっては他の邦人も少なく、あまり外食の機会などありません。職場の人間も自分一人、またはほんの数人ということが多いので、企業などである「付き合い」の食事会や飲み会も存在しません。

また食費以外に買い物をする機会もほとんどないので、家にも生活に本当に必要な物以外ほとんどなく、出費の機会が極端に少なくなるので自然とミニマリスト的な生活を送ることができます。

ちなみにミニマリストという生き方については、佐々木典士さんの『ぼくたちに、もうモノは必要ない。- 断捨離からミニマリストへ』という一冊がおすすめです。

物を捨て、本当に最低限のものだけがあって満たされる。ミニマリストとして哲学と生き方のノウハウの両方を記した良著だと思います。

反面、マイナス面は…

ただしもちろん、NGOの駐在員というのはバラ色の生活という訳ではありません。NGO業界はいつも「人手不足が深刻」と言われる業界です。NGO駐在員としての悩みはどのようなことがあるのでしょうか。

変化へのストレス

「新しい文化を学べる」ということをプラス面の中で書きましたが、それは逆を返せば変化へのストレスとなる人もいると言えます。

国によっては自分で作る以外に和食を全く食べられない場所もあるでしょう。食材や味付けも日本のものとは大きく異なり、現地の食事が口に合わないこともあります。

四季がはっきりしていて比較的温暖な日本の気候とも異なる国では、それ自体に身体がストレスを感じ、現地で流行っている感染症に罹らなくても身体が不調を感じることもあります。

生活全般の不便さ

また英語が公用語ではない国では現地語が分からず、生活全般に不便を感じることもあります。

お店に行っても、日本ほど品揃いがいいとは限りません。私はパスタソースを作るためにカットトマト缶が欲しくてスーパーに行きました。50mに渡って様々な会社のトマトペースト缶は売ってるのに、カットトマト缶が一つも売っていないという経験もあります。(笑)

トマト缶は大したことがないにしても、もし家で水道や電気のトラブルに見舞われた場合にも日本ではすぐに修理会社に電話できますが、現地語が分からないと現地の知り合いの助けを借りる必要があります。

日本が、そして日本での生活がどれだけ便利なのか、身に染みて感じることでしょう。

将来の不安定さ

将来の不安定さは日本のNGO業界の若手人材不足という永遠の課題に繋がっていると言えます。

資金力の乏しい日本のNGOは政府資金に頼っていることが多く、プロジェクトの節目である2-3年で契約が切れることが度々あります。つまり2-3年のペースで団体を変え、任地国が変わることがあることを意味しています。

終身雇用制度が時代遅れになりつつある日本社会においても、このNGO業界の現状はかなり不安定な生活を意味しています。

これは自分の将来を計画するうえで大きな足枷ともなります。

家族も築きづらい。NGO職員と同様2-3年で任地が変わる国連職員、中でも男性に比べて女性の職員の未婚や離婚率もかなり高いとのデータも存在します。

最後に…

今回は6年ほどのNGO業界経験をベースに、NGO駐在員生活のプラス、マイナス面を書きました。

結論を書くと、私は今の生活にとても満足しています。それは上記のマイナス面を十分考慮しての感想です。

私は日本社会で生まれ育ちましたが、それでもこの社会で企業に就職し、公務員やサラリーマンとして生きる人生を想像ができませんでした。通学の際に毎日電車で見るサラリーマンの人たちが不機嫌であったり、眠そうであったり。「この生活を数十年続けて本当に自分にとって幸福な人生を歩めるのか」という疑問がいつも頭の片隅にありました。

現在行っているNGOを通した人道支援の仕事を私は、自分の人生と重なる営みである、と言えるかもしれません。ちょっと難しく聞こえるかもしれませんが、困っている人に手を差し伸べるという人間としての美しさをそのまま体現できる仕事、本当の意味での「ワークアズライフ」ということを実現できる場だと考えています。

「将来の不安定さ」という点も指摘しましたが、もしこの業界に興味ある人がいましたら「2-3年だけ人生の気分転換に挑戦をしていみる」という心意気でもいいと私は思います。

NGOは資金が取れるかで有期スタッフの契約の延長を決めるところも多いので、2-3年という期限を決めて、今の自分の生き方を見つめ直す機会にするのもいいかなと思います。

もちろん語学(特に英語)というハードルはありますが、それ以上にNGO界隈では民間で積まれた経験を必要としている所も多いので、必ず皆さんが持っている能力を求めている団体があると思います。

NGO職員としての生き方を考えている方、「ちょっと挑戦してみたいな」と思っている方もぜひ外務省の「NGO相談員」などの制度を使って、まずは一歩踏み出してみてください。

私でもよければ、このブログのコンタクトページからメッセージをお送りいただければ疑問や不安に対して回答したいと思います。

ここまでお読みいただきありがとうございました!

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