6月20日の『世界難民の日』を前に今日、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)が‘2018年末までの世界の難民統計である”Global Trends 2018“を発表しました。
今日はその中で主なデータを抜粋して、分かりやすいグラフィックとともにご紹介します。
2018年も過去最悪を更新
毎年、『世界難民の日』の前日に国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)がその前年までの統計を発表しています。
それによると、2018年末までに世界では7,080万人が移住を強いられているとのことです。
これは昨年に比べて230万人増えた計算で、統計を取り始めた過去70年間で最悪を更新しました。
これは日本の人口(1億2,000万人)の2人に1人以上が故郷を戦乱・迫害・国家の破綻などの原因で追われていることになります。

あまりに大きな数過ぎて実感が湧かないかもしれませんが、この7,080万人という数は、1日に37,000人が、2秒に1人が新たに故郷を追われていることにもなります。
この移住を強いらている人の中でも、いくつかのカテゴリーに分けられます。

7,080万人という数の内、4,130万人は自国内で避難を強いられている「国内避難民」と呼ばれる人にあたります。
そして、国外に避難している、一般的に「難民」と呼ばれる人は2,590万人に上りますが、その内550万人はUNHCRの保護ではなく、この団体の前に作られたUNRWA(パレスチナ救済事業機関)が支援しているパレスチナ難民にあたります。
最後に、1951年に採択された難民条約に基づき、滞在国に庇護申請をしている難民申請者と呼ばれる人が350万人にのぼります。
難民出身国トップ5
ここからは、移住を強いられている人の中でも、国外に逃れている難民にしぼってデータを見ていきましょう。

難民の出身国、今年の1位も戦闘の終わらないシリアでした(670万人)。シリアはこれで2014年から5年連続で1位となってしまいました。
次は1970年代から難民となっている人もいるアフガニスタン。
3位はこちらも混乱のやまない南スーダンが、4位にはロヒンギャ難民が多くバングラデシュに避難しているミャンマー、最後はアフリカの東端の国で、テロ組織の攻撃や民族間の対立が続くソマリアとなりました。
難民受入国トップ5
次は、国外に避難している難民を受け入れている上位5ヵ国をご紹介します。

1位は、シリアやイラクから多くの難民が避難しているトルコでした。2014年に1位になってから5年連続で、今年も昨年からさらに20万人増え、370万人となりました。
2位は多数のアフガン難民の避難先となっているパキスタン。約140万人の難民を受け入れています。
3位は多くの南スーダン難民を受け入れているウガンダです。昨年より減少したとはいえ、いまだに120万人ものなんみんの避難先となっています。
次は南スーダン難民やシリア難民を受け入れているスーダンです。ただ今日110万人を受け入れているこの国も政変での混乱が続き、難民の出身国になる可能性も高くなっています。
最後は昨年7位から5位にあがった、先進国で唯一トップ5にランクインしたドイツです。110万人の難民の内、約半数がシリア出身ですが、その他イラク、アフガニスタン、ソマリアなど多くの国から難民を受け入れています。
その他の注目すべきデータ
この他にも、注目すべきデータがいくつかありましたので、最後にご紹介します。
帰還民
2018年末までに、約290万人が避難先から故郷に戻ることがかないました。内訳としては国内避難民が230万人、国外に逃れた難民の内、帰還した人は60万人でした。
子ども難民
2009年、移住を強いられる人の内約41%が18歳以下の子どもでした。しかし今日、その割合は増え続け約半数が未成年と言われています。
さらにその内、約13万8,600人が親などの庇護者がいない子どもでした。
不平等な「負担の分担」
国外に逃れた難民の内、その多く(84%)はその周辺国などの発展途上国と言われる国に避難しています。
逆に先進国は16%しか受け入れておらず、多くの「負担」を周辺の途上国に強いています。
最後に…
今日は、Global Trends 2018をもとに、2018年末までの世界の難民のデータを簡単にご紹介しました。レポートのリンクも載せておきますので、さらに知りたいという方はぜひのぞいてみてください。
最後に、多くの数を紹介したばかりですが、この7,080万人という中の一人ひとりに物語があり、夢があり、生活があり、故郷を追われた悲劇があり、帰還する・新たな生活を始めるという希望がある、ということを忘れないで欲しいです。
「彼らも、一人ひとりが私たちと変わらない人間である」
私もこれをいつも心に刻み、難民支援に取り組みたいです。