私はこのブログでよく「人道支援」や「難民支援」というテーマに紐づけた記事を書いています。
ただこのトピックに関連し、私自身、特に若い高校生や大学生の方からよく聞かれる質問があります。
「人道支援業界で働きたいけど、どうやって始めたらいいのかが分からない」
そうです。人道支援や難民支援を仕事としたいと言っても、そもそもそのポジションの条件として「2年以上の関連職務経験」という条件が付けられていることがほとんどで、新卒の人ではまず間違いなくこの条件を満たしていません。
でも、この条件を満たすためにはどこかに就職せねばならない。
あまりにも明白なパラドックスがここに起きています。
そこで、今日から【準備編】、【コンタクト編】、【応募編】の3回に分けて開発/人道支援業界における就活方法について書いていきます。
ちなみに、開発/人道支援業界で仕事を見つける一番手っ取り早い方法は、ズバリ「コネクション」なのですが、今回は、このコネがない、全くの初心者向けの記事となっています。
Contents
開発/人道支援の就活方法① – 準備編!
初回の今回は、具体的なテクニックに移る前に「自分の中での目標を確認する」、「自分の立ち位置を確認する」という点を解説します。
STEP 1:目標設定
これはどの職種での就活でも当てはまることですが、自分がどのような場所で働きたいのかを定めるために、まずは自分自身に対していくつかの質問をしてみましょう。
例えばこのようなものです:
- 自分はどのような経験を積んできたか?
- 自分がキャリアを通じて成し遂げたいことは何か?
- 自分が理想としている世界の姿はどのようなものか?
これらを書き出してみて、自分が開発/人道支援という仕事を通してどうなりたい、世界をどうしたいのか、を問い直してください。
STEP 2.1: どのような職種があるか?
自分の理想としている世界を見定めたなら、次はそれを実現できるセクターを知る必要があります。
以下におおまかな開発/人道支援の仕事に携われるセクターを紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。
- (もしあなたが一つの機関での長期間のキャリアを考えているのなら)国連や政府開発援助の実施機関(JICAなど)
- (もしあなたが直接裨益者と接し、ニーズを把握したいのなら)市民団体やNGO
- 政府機関
- 政府事業に対するコンサルタント
- 企業のCSR部署
- 企業などを対象にした開発コンサルタント
- シンクタンクや研究所
このように、開発/人道支援の業界といっても、幅広い職種が存在します。
STEP 2.2: どうのようなポジションがあるか?
次に、これらのセクターにおいてどのようなポジションがあるのか、ご紹介します。
もちろん職種によっても大きく変わってきますが、開発/人道支援の現場に携わる人は、このステップを踏んでいく人が多いのではないでしょうか。
- エントリーレベル:ボランティア、インターン、管理職、短期契約職員
- エントリーレベル+(2年ほどの経験を要する職も):小規模NGOの職員、現地NGOの職員、大規模NGOのプロジェクト・アシスタント職など
- ミッドレベル(2年以上の職務経験):国際NGO、国連、世銀などの下級職員
- ミッドレベル+(5年以上の経験):国際NGO、国連、世銀などのプロジェクト・マネージャー職
- シニアレベル(10年以上の経験):所長などダイレクター職
- その他:コンサルティング会社や企業のCSR職では、新卒の修士・学部生の採用も行っている所もある。シンクタンクや研究所は基本修士号以上、博士号を求められる場合も。
このように、開発/人道支援でキャリアを積みたいのならとにかく経験がものを言うというのが分かります。
ただしコンサルティング会社や企業は職務経験を求めない所も多いので、新卒の人の足掛かりとしてはちょうどいいかもしれませんね。
STEP 3:実際に仕事を探してみよう!
開発/人道支援で仕事を探すには、求人ポータルサイトを活用するのがいいでしょう。
この業界は基本的に人手が不足しているので、求人に事欠くことはありません。笑
ここからは私がいつも利用しているサイトをいくつかご紹介します。
気になるものがあれば、ぜひリンクをクリックしてのぞいてみてください!
- UN Careers: これは名前の通り、国連専用の求人サイトです。国連の世界公募は大人気なので、一つの職に数百~数千人が応募することもあり、競争は激しいです。
- reliefweb: こちらは国連人道問題調整事務所(OCHA)が運営しているサイトで、緊急支援・人道支援(開発系もちょっと)の求人を載せています。職種は国連だけでなく、大中小規模のNGOのも載っており、さらに働きたい地域や国ごとにフィルターをかけたり、インターンやボランティアの求人もあるので、エントリーレベルの人も活用できるサイトです。
- impactpool: このサイトでは比較的大規模なNGO、国連、さらにはEU連合の求人も載っています。主に利用するのはミッドレベル以上の方かと。
- Aid jobs: こちらのAid jobsは主に開発系のNGO、さらにはチャリティー関連の団体の求人が載っています。
- bond: 最後に紹介するbondは、イギリスの団体なのでイギリスのNGOの情報が多いのですが、多くの国際NGOの求人も載せられています。主に開発系の仕事に就きたいという方はのぞいてみてもいいでしょう。ボランティアやインターンの求人も多く載せらている印象です。
- PARTNER: JICAや日本の政府機関、日本のNGOやコンサル会社の求人が載せられています。日本の団体で働きたいという方はまずチェックする必要のあるサイトです。
STEP 4: 必要とされるスキルは何か?
【準備編】の最後のステップは、自分が描くキャリアプランの中でどのようなスキルや資格が必要になるかを知ることです。
- 経験:STEP 2.2のリストをもとに、自分がどのポジションいるのかを把握してみてください。
- 言語:英語は言うまでもなく必須です。また、西・中央アフリカで働く場合は業務でフランス語を使うこともありますし、南米で働きたいのならスペイン語は避けては通れないでしょう。国連でのキャリアを考えている場合、これらの他にアラビア語、ロシア語、中国語なども加算点となりますので、(余裕があれば)習得してみてください。ただ、英語にフランス語もできれば十分だと個人的には思います。
- 資格:国連で働きたいのなら関連する修士号は基本的に必須です。その他、水回りや電気系統の仕事で専門的な資格が必要なものもあるので、事前に確認してください。
- 海外経験:これは旅行のことを言っているのではなく、海外で働いたことがあるのかを言っています。応募要件に書かれていることは少ないですが、面接などでは必ずと言っていいほど聞かれます。ボランティアやインターンなど、海外で働いた経験はあって損はないでしょう。
最後に…
質問をいただく高校生・大学生の方に私が必ず伝えていることがあります。
最後にこの2つをここに記して、【準備編】を閉じたいと思います。
1.どんな経験でも自分のアピールになる
まだ職務経験のない、若い人に向けてですが、どんな経験でもアピールになることを覚えておいてください。
インターンやボランティア活動に従事した、学校・大学の団体で責任者を務めたなど、関係ないと思うことでもアピール材料に成り得ます。
「社会をよくしたい」、「団体を良い方向へと導きたい」
こういったことをアピールできる材料を在学中からたくさん揃えておくとよいでしょう。
2.団体に積極的に関わる
これは、すでにあなたが働きたいと思っている、理想としている団体がある場合ですが、積極的にその団体と関わってください。
ボランティア活動や、学生ならインターンなど、NGOならば関わる手段はいくらでもあります。
国連でも、日本ならば事務所の広報活動を担当しているUNHCR協会やUNICEF協会は学部生のインターンも受け入れています。
将来あなたがその団体に応募した際に、採用者側も「あ、この人は団体の理念に本当に共感してくれているのだな」ときっと理解を示してくれます。
ではまた次回!
ここまで読んでいただきありがとうございました。
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ではでは、次回の記事でお会いしましょう~